「もし、雪の朝でも心が踊るクルマがあったら──」
僕がそう呟いたのは、冬の奥多摩でMTの軽自動車をスリップさせながら登ったあの日だった。あれから月日は流れクルマは進化し、ユーザーの価値観も変わった。けれど、胸の奥に眠る「小さくて、よく走る、信頼できる1台」への憧れは、今も色褪せない。
そして、いよいよ登場すると噂される2025年のダイハツ ミライース GRスポーツ。小さなボディに5速MT。そして、もしそれに4WDが組み合わされたら──それは単なる“軽”ではなく、“走りを忘れない大人”たちに捧げる、雪国仕様のスポーツギアになるはずだ。
本記事では、そんなミライース GRスポーツの4WD搭載の可能性から、切り替え方式、雪道での走破性能、そして気になる燃費や価格予想まで、僕なりの視点で徹底的に掘り下げていく。
走りを諦めたくないあなたへ──この1台が、また“アクセルを踏む歓び”を思い出させてくれるかもしれない。
1. ミライース GRスポーツに4WD設定はあるのか?
あれは、忘れもしない15年前の冬。
僕は古いミラの4WDを駆って、凍てつく箱根の旧道を登っていた。
タイヤは細く、エンジンは非力。それでも、4輪が確かに地面を掴んでくれるあの感触に、僕は“クルマを信じる”ということを初めて体で知った気がした。
──そして今、あの感覚が蘇るようなニュースが舞い込んできた。
「ミライース GRスポーツに、4WDが搭載される可能性がある」
軽量ボディに5速MT、GRの味付け。それだけでも十分ワクワクするのに、そこへ4WDの安心感が加わるなら──
これはただの“スポーツ風軽”なんかじゃない。“冬の峠で心が燃える大人のギア”になる。
現行のミライースにはすでに4WD設定がある。つまり、GRスポーツにもそれが採用される可能性は大いにある。
いや、むしろそれを「GRがどうチューニングしてくるか」こそが、僕たち走り屋世代にとっての一番の関心ごとだ。
GRヤリスが“走れる4WD”であるように──
このミライース GRスポーツも、軽の限界を超えた“走れる相棒”になるのではないか。
…そう思わずにはいられない。
2. 4WDの方式と切り替え機構を予想する
クルマに乗るという行為は、“進む”こと以上に、“信じられるかどうか”が問われる場面がある。特に、それが濡れた峠道だったり、雪の降る朝の坂道だったりした時──ドライバーは、ただアクセルを踏むだけじゃなく、その先に「ちゃんと進んでくれるか?」という信頼をクルマに投げかける。
ミライース GRスポーツに、そんな“信頼される走り”を期待するなら、搭載される4WDシステムがどんな方式かは、非常に重要な要素になる。
現行のダイハツ製軽自動車に多く採用されているのはビスカスカップリングを使ったオンデマンド4WD。これは基本的に前輪駆動で走行し、前輪が滑ると自動的に後輪にも駆動を配分する仕組みだ。非常に軽量かつシンプルで、燃費への影響も最小限に抑えられるため、実用性重視の軽には理想的な方式といえる。
ミライースもこの方式を採用しており、GRスポーツが市販される際もベースのシステムを踏襲する可能性は高いだろう。しかし、そこに“GRスポーツらしさ”というエッセンスがどう加えられるかが、走りを愛する者にとっての大きな関心事だ。
例えば、よりダイレクトな駆動配分制御や、後輪にトルクを積極的に配分するような電子制御。もしくは足回りのチューニングとセットで「蹴り出す感覚」を演出する味付け。そうした“走ることへのこだわり”が、この小さなクルマの奥行きを広げてくれる。
切り替え方式についても触れておこう。かつての4WD軽スポーツ──例えば三菱ミニカダンガンやスズキアルトワークスなどには手動で切り替えるパートタイム4WDも存在した。しかし現代では安全性・利便性の観点から自動切り替え式</strongが主流。ミライース GRスポーツもその流れを汲む可能性が高い。
だが、ドライバーが意識しないまま、滑る路面に自然に対応してくれるというその「さりげなさ」もまた、クルマにとっては大きな武器となる。つまりは、ドライバーが余計なことを気にせずに“走り”に集中できる──それが、このGRスポーツにおける“見えない性能”なのだ。
たとえ小さなクルマでも、こうした「制御の質」こそが、走りを愛する者にとっての“本質”になる。僕はそう信じている。
3. 雪道・凍結路での走破性はどれほど期待できるか?
夜が明けきらない冬の朝。
まだ誰のタイヤ跡もない雪道に、ギュッとアクセルを踏み込む。
この瞬間、信じられるのは──クルマの脚と、自分の右足だけだ。
そんなシーンで、ミライース GRスポーツがしっかりと前へ進んでくれたなら──
それはただの“軽”じゃない。信頼できる“道具”であり、“相棒”であり、そして一台の“スポーツカー”になる。
GRスポーツの足回りは、おそらく専用セッティングが施されるだろう。
ただ硬いだけじゃない、しなやかさと路面追従性を併せ持った、走りの味付け。
軽量なボディが生む“クイックな反応”は、雪道のような低μ路でもドライバーとクルマの対話を保ってくれる。
特筆すべきは、その“スリムさ”だ。
車幅1,475mm──これは軽の中でもかなり細身の部類。
だから、除雪の甘い裏道も、凍結した生活路も、このクルマは怖がらずに突っ込んでいける。
しかも4WDとGRの組み合わせなら、単に滑りにくいだけじゃない。
「どこまで踏めるか」ではなく、「どこまで自分を預けられるか」──
そんな風にクルマとの関係性が変わってくる。
走ることに貪欲だった20代の僕なら、「軽なんて…」と鼻で笑っていたかもしれない。
でも今は分かる。本当に楽しいクルマって、サイズじゃない。
「どんな時でも、こいつなら行ける」──そう思わせてくれる1台にこそ、価値がある。
ミライース GRスポーツが、そんな存在になれるとしたら。
それは、走りを忘れた大人たちの心にも、もう一度火を点けてくれるはずだ。
4. 4WDになることでの燃費への影響は?
「走れるクルマは、燃費が悪くて当然」──そんな時代はもう終わった。
けれど、“燃費”という言葉が、いまだにネガティブなイメージを背負いがちなのは事実だ。
ましてや軽自動車に4WDを載せるとなれば、「燃費が落ちるのでは?」と不安になる声も少なくない。
確かに、4WD化によって駆動系パーツの重量増や、タイヤの転がり抵抗が増えることは避けられない。
現行のミライースでは、2WD車に対して4WD車の燃費はおよそ1〜2km/Lほど低下しているのが実情だ。
でも、ここで忘れてはいけないのは、GRスポーツという“走りにこだわるグレード”が、どんなバランスを目指すのかという視点だ。
つまり、カタログ燃費の数字ではなく、“実走行でどれだけ満足できるか”という本質だ。
たとえば、4WDによる安定したトラクションがあるからこそ、アクセル操作は穏やかになり、結果的に燃費は向上するかもしれない。
あるいは、ストップ&ゴーが多い街中でも、滑らかな加速が可能なら、ガソリンの無駄な消費は減る。
さらに、GR専用に設計された空力パーツや軽量ホイールが、実燃費の悪化を抑えるという可能性もある。
ただ“走るため”だけでなく、ちゃんと“日常を支える”ために設計されたクルマ──
それが、もしGRスポーツというブランドの次の一手なら、僕はそれを歓迎したい。
“走り”と“燃費”。
この2つが、対立するものではなく共存できることを証明してくれる。
そんな軽スポーツが、2025年の秋にやってくるかもしれない。
5. 4WDモデルの価格はいくらになる?
「このクルマ、買えるのか?」──
走りに胸を躍らせた後、誰もがふと現実に引き戻される瞬間がある。
2025年のミライース GRスポーツ。その4WDモデルの現実的な価格予想として、僕が想定するのは180万円〜190万円台。
「高い?」──いや、そう感じるのも無理はない。
でも今、世の中を見渡せば、ジムニーだってもう200万円を軽く超えている。
アルトワークスだって180万前後、ハスラーの特別仕様車も200万に届こうかという勢いだ。
むしろ今この時代に、5速MT・専用セッティング・4WDという“走りの三種の神器”を手に入れられるなら、それはもはやバーゲンプライスに近い。
GRスポーツは、ただのドレスアップではない。
ステアリング剛性・足回り・空力・ブレーキ制御──各部にGRチューンが施されることで、走りの質がまるで変わる。
確かに、170万円の壁は超えてくるだろう。
でもその先に待っているのは、「軽なのにこんなに走るのか!」という驚きと、“使えるスポーツカー”という新しい選択肢だ。
家族の送迎も、通勤も、そして休日の峠も、すべて1台でこなせる。
それでいて、ハンドルを握るたびに胸が高鳴る──
その価格、果たして高いだろうか?
6. 雪国ユーザーが待ち望む“軽スポーツ4WD”の魅力
僕の妻は北海道・札幌の出身だ。
最初に彼女の実家に遊びに行った冬の日、朝イチで彼女が言った。
「横浜の冬とは違うからね。道が凍ってるっていうか、ツルツルしてるの」
その言葉の意味を、僕は実際にハンドルを握って痛感した。
直進すらままならないアイスバーン、交差点で止まりきれない恐怖、右左折で滑り出す後輪──。
そんな札幌の街を、彼女は昔から普通に“軽の4WD”で走ってきたという。
雪道でも、生活の足を止めない──それが、雪国で暮らす人々の「日常」なんだ。
だからこそ、そんな環境に「走る歓び」と「信頼性」の両方を備えた軽」が登場する意味は、想像以上に大きい。
小さなボディで、MTで、4WDで、しかもGRのチューニング。
そのクルマがもたらすのは、ただの“スポーツ性能”じゃない。
「また走りたい」と思わせてくれる、暮らしのリズムそのものなのだ。
僕は彼女の実家に向かう度に、峠道や雪道のコンディションを考えながらクルマを選んでいる。
もし、ミライース GRスポーツ 4WDが市販されるなら──
それはもう、僕にとって「趣味のためのクルマ」ではなく、“家族に会いに行くクルマ”になる。
雪国に暮らす人だけじゃない。
雪国に「帰る人」にとっても、このクルマは、走りを再発見させてくれる存在になるはずだ。
まとめ|走る歓びを、もう一度 冬の日常に
5速MT、ターボ、そして4WD──。
ミライース GRスポーツは、数字だけを追えば「軽自動車の進化形」かもしれない。
けれど、その本質は、もっと別のところにある。
それは、ただの“スペック”では語りきれない、人とクルマの“再会”だ。
忙しさに追われて、いつしか置き去りにした「走る歓び」。
家族を優先するようになって、奥にしまっておいた「運転が好きだった気持ち」。
その全てを、冬の道でそっと思い出させてくれる。
それが、ミライース GRスポーツ 4WDという一台の価値なのだ。
妻の故郷・札幌へ向かう雪の高速道路。
子どもたちを後席に乗せ、MTでギアを繋ぎながら、僕は思う。
「このクルマがあれば、冬も、走りも、怖くない」
そして、ハンドルを握る手に、かつて峠で燃やした情熱が、またじんわりと灯る。
──そんな未来を、この小さなGRが連れてきてくれるかもしれない。
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