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e:HEVかe‑Powerか?走りで選ぶハイブリッドSUV徹底比較|ホンダ・トヨタ・日産

ハイブリッドSUVに、走りを託せるか?

そのニュースに、僕は思わず息を呑んだ。

「日産・追浜工場、閉鎖へ」

そこはかつて、名車フェアレディZの開発車両が走り込んだテストコースを併設し、
e‑Powerを搭載したノートやキックスが生まれた、“走りの息づく場所”だった。

なぜ? これから日産はどこへ向かうのか?
そんな疑問と共に、僕の頭をよぎったのは、「ハイブリッドSUVの未来」という問いだった。

今、電動化の過渡期にあって、僕らは選ばなければならない。
EVか? ハイブリッドか? いや、それ以前に――

「このクルマで、気持ちよく走れるか?」

それが僕にとって、そして、あの頃ハンドルを握ることに夢中だったあなたにとって、
唯一譲れない問いのはずだ。

この記事では、ホンダ「e:HEV」、日産「e‑Power」、そしてトヨタのハイブリッドやPHEV――
3社のハイブリッドSUVを“走り”という一点で徹底比較していく。

単なる燃費やスペックの話じゃない。
走りの手応え、ステアリングの意志、アクセルを踏んだときの心の跳ね方

そのすべてを、僕自身の経験と哲学を交えて伝えていく。

クルマの未来を、君はどのパワートレインに託す?
その答えを探す旅へ、一緒に出かけよう。

第1章:日産・追浜工場閉鎖が示す、“e‑Power”の分岐点

そのニュースは、まるで古い仲間が遠くへ行ってしまうと聞かされたような、
なんとも言えない寂しさを伴って届いた。

「日産、追浜(おっぱま)工場の車両生産を2027年度末で終了」
――つまり、日本のカレンダーで言えば、2028年3月末

神奈川県・横須賀市。東京湾に面したその地に建つ追浜工場は、
長年にわたり日産の“魂”が吹き込まれる現場だった。

フェアレディZ、スカイライン、ノートe‑Power、キックス――
走りと実用、過去と未来をつなぐクルマたちが、ここで産声を上げてきた。

その工場が、間もなく静かになる。

もちろん、背景にはいくつもの現実がある。
世界的なEVシフト、販売の伸び悩み、経営資源の再配分……。

でも、走り好きの僕にとって、それはただの生産整理では終わらない。

これは、「e‑Powerの未来」が問われている出来事だ。

e‑Powerは、エンジンで発電し、モーターだけで走るという“シリーズ式”のハイブリッド。
静かでスムーズ、でもアクセルを踏めば力強く加速する――
あの「電気のトルク感」に、初めて乗ったとき、僕は確かに心を動かされた。

たとえばノートe‑Power。
NISMO仕様に乗ったときには、ハンドルに伝わる剛性感、ペダルレスポンス、
すべてが「これはコンパクトの皮を被ったホットハッチじゃないか?」と思えるほどだった。

ただのエコじゃない。
走りを知る者を唸らせる、静かな情熱が、そこにはあった。

だからこそ、今問いたい。

このまま、e‑Powerは終わってしまうのか?
日産は“走りの電動化”という夢を、ここで降りるつもりなのか?

追浜工場が幕を閉じても、e‑Powerという思想が受け継がれるのか。
それとも、ただの“過渡期の技術”として消えていくのか。

これは、日産だけの話じゃない。
ハイブリッドSUVという選択肢が、“走り好き”にとって希望であり続けるのか。

次章では、ホンダ「e:HEV」、日産「e‑Power」、トヨタ「THS / PHEV」――
三者三様の電動パワートレインを、峯村翔の目線で徹底的に比べていこう。

第2章:走りで選ぶ、e:HEV・e‑Power・THSの真価

ハイブリッドSUVと一口に言っても、その中身はまったく異なる。

同じ“電動の走り”を掲げながらも、
ホンダ、日産、トヨタ――三者三様のアプローチには、それぞれの哲学がにじんでいる。

ここからは「燃費」でも「価格」でもない、“走りの質感”だけにフォーカスして、
e:HEV・e‑Power・THS(+PHEV)の真価を比較していこう。

▶ e:HEV(ホンダ)|加速は意志、回生はリズム。

ホンダのe:HEVは、シンプルに言って「一番スポーティ」だ。

エンジンは基本的に発電に徹し、
ほとんどの走行をモーターだけでこなすシリーズ式+スイッチ式のハイブリッド。

特筆すべきはアクセルのリニアさと、回生ブレーキの質感。

たとえばZR-V e:HEVに乗ったとき、ペダル操作に対する車体の反応がとにかく自然だった。

「あ、これ、カート出身の人が味付けしてるな」と感じるほど、細やかで、でも楽しい。

ドライバーの意志をそのまま路面に伝える感覚は、
「電動だけどホンダらしい」という言葉そのものだ。

▶ e‑Power(日産)|静かに、でも力強く蹴り出す。

一方で日産のe‑Powerは、“電動ならでは”の醍醐味を最も濃く味わえる。

アクセルを踏んだ瞬間の「グッ」と前に出るトルク感は、やはり魅力的だ。

特にオーラe‑PowerやノートNISMOなど、車体の剛性がしっかりしているモデルだと、
「これが本当にハイブリッド?」と疑うほどの応答性を見せる。

ただし、アクセルワークと減速の制御が若干“電子的”で、
「走る楽しさ」というより「上手に運転するゲーム」に近い瞬間もある。

そこがe‑Powerの好き嫌いが分かれるポイントかもしれない。

▶ THS/PHEV(トヨタ)|すべてをバランスで包み込む。

トヨタのTHS(ハイブリッド)やPHEVは、3つの中で最も洗練されている。

加速もブレーキも極めてスムーズ。
RAV4ハイブリッドやプリウスPHEVに乗ると、まるで“無重力で走ってる”ような感覚になる。

ただしその反面、「走らされている感覚」を持つ人もいるかもしれない。

強い個性はない。けれど、
「家族を乗せて安心して走れる」という意味では、間違いなく一級品だ。

▶ “走り”にこだわるなら、どれを選ぶ?

ホンダは走りの感性で勝負し、
日産は電動トルクのパンチを前面に出し、
トヨタはすべてのバランスを取りに行く。

じゃあ、どれが正解か?

それは結局、あなたがどんな感覚でアクセルを踏みたいかに尽きる。

「静かに街を流しながら、時に鋭く切り込む」なら、ホンダ。
「モーターの蹴り出しに電気の未来を感じたい」なら、日産。
「家族との時間を優先しつつ、自分の好みも忘れたくない」なら、トヨタ。

それぞれに、“走り”という名の正義がある。

さあ、あなたはどのドライビングフィールを、日常に迎え入れる?

第3章:主要モデル試乗レビュー|CR-V、ZR-V、RAV4、オーラ、ノート、キックス

パワートレインだけでは見えてこない“走りの個性”――それは車体設計、サスペンションセッティング、そして開発者の思想によって形づくられる。

ここでは、走りの感性に響いたハイブリッドSUV/EVモデルを、僕の感性で赤裸々にレビューしていこう。

▶ ホンダ・ZR-V e:HEV|感性で走るSUV

初めてステアリングを握った瞬間に、「これはただのファミリーカーじゃない」と思わせるモデル。

足回りはしっかりしていながらも上質。
高速のコーナーでステアを切った瞬間、車体が“すっと”インに入る。これが気持ちいい。

ドライバーが望んだラインを、ほぼそのままトレースしてくるあの感覚。
「SUVでも走りで妥協しない」というホンダの矜持がはっきりと伝わってくる。

▶ ホンダ・CR-V e:HEV(新型予想)|ホンダらしい“走れるSUV”の本命

日本導入は2025年後半と予想される6代目CR-V e:HEV。
すでに北米では販売が始まっており、そのスペックやシャシー構成から、「かなり走れるSUV」になることは間違いない。

プラットフォームはZR-Vと同系統。つまり“走り味”も期待できるということ

サイズ感は大きめだが、シャシー剛性の高さとダブルウィッシュボーン式リアサスによって、
コーナリング時の“しなやかさ”と“粘り”が共存するキャラクターになると予測している。

e:HEVのレスポンスはZR-Vでもすでに高評価。
それを一回り大きなボディで味わう新型CR-Vは、「大人の走り好き」にとってのベストアンサーになるかもしれない。

走りも実用も譲らない――
それがホンダらしいCR-Vの矜持だ。

▶ 日産・オーラ e‑Power|ハイパワー電動コンパクト

走り出しからトルクが太い
それでいて、剛性の高いボディと足回りがパワーをきちんと受け止める。

峠道でも“フワつき”は皆無で、ワンペダル感覚の減速フィールもなかなか気持ちいい。

ただし、気になるのはアクセルの操作で走行音がやや変に感じる点。
「回転してないのにエンジン音が聞こえる」独特の挙動に戸惑う人もいるかもしれない。

とはいえ、電動で走りを追求する姿勢は、日産の誇りだ。

▶ トヨタ・RAV4ハイブリッド|万能型オールラウンダー

初めて乗ったときの感想は、「なんて完成度が高いんだ」だった。

直進安定性、加速の滑らかさ、そして高速域での安定感。
どこを取っても80点以上という安心感がある。

ただし、逆に言えば“ドキドキ”が足りない。

「誰でもうまく走れてしまう」からこそ、
クルマとの対話を楽しむタイプの人にはやや物足りなさを感じるかもしれない。

▶ ノート/キックス e‑Power|静かなる電動の快走

ノートは軽やかで、街中ではまさに無敵の乗りやすさ。

キックスは同じe‑Powerでも車体の重さと足のストローク感が加わり、
「これはラリーカーのような粘りがある」と感じる瞬間もある。

両者に共通するのは、静かで、でも力強い走り。

アクセルにほんの少しのタッチを加えるだけで、
車体がスッと反応して前に出るあの感覚は、やはり病みつきになる。

「EVに最も近いハイブリッド」という表現は、決して誇張ではない。

そして、そこに“走りのロマン”を見出せるかどうかが、このパワートレインの本質なのだ。

第4章:ハイブリッドSUV市場の今と未来

僕らがこのテーマで語るとき、ただ目の前のクルマだけを見ていては本質にたどり着けない。

「電動化の波が押し寄せる中で、なぜハイブリッドSUVが注目されているのか?」
その背景には、時代のうねりと、ユーザー心理の微細な変化がある。

▶ EVの理想、ハイブリッドの現実

確かに今、世界はEVに向かっている。

けれど、それはすべてのドライバーにとって理想的な道か?と言えば、答えはNOだ。

充電インフラの未整備、バッテリーの価格、航続距離への不安、そして「走りの質感の違和感」

これらの“現実”に直面したとき、多くのユーザーが選び直したのが、
「じゃあ、今はハイブリッドでいいじゃないか」という選択肢だった。

特にSUVというカテゴリでは、
実用性・積載性・走破性と、パワートレインのバランスが求められる。

そこに“ちょうどいい”答えとして、e:HEV・e‑Power・THSが存在している。

▶ データが示すハイブリッドSUVの躍進

例えば、国内のハイブリッドSUV市場はこの数年で2倍近くに成長。
特にZR-VやRAV4の販売は安定して好調を維持し続けている。

グローバルでもハイブリッドSUVは今後5年で年平均10〜15%の成長が見込まれ、
「EV一辺倒」の潮流に一石を投じる存在として再評価されている。

▶ 走り好きが求める、第三の道

EVの加速に驚いたことはある。でも、心が震えるほどワクワクしたかと言えば――違う。

回転数の変化に一喜一憂し、アクセルとステアリングで“自分が操ってる”と感じるあの感覚。
それは、まだハイブリッドにしか残っていない感情かもしれない。

ただ燃費が良いだけじゃない。
ただ環境に優しいだけじゃない。

走りの余白に、自分を投影できる――
それが、ハイブリッドSUVの“未来”だと、僕は思う。

次章では、そんな未来を見据えて、走り好きの僕たちが今どんな選択をすべきかを語ろう。

第5章:走り好きが今、選ぶべきSUVとは?

もしも今、「SUVが欲しいんだけど、どれを選べばいい?」と聞かれたら、
僕はこう答える。

「まず、自分が何にワクワクするかを思い出してくれ」と。

燃費? 価格? 積載力?
もちろん、それらはクルマ選びに欠かせない基準だ。

でも、かつて峠道でアクセルを踏み抜いたあの夜、
夜明けの高速で風を切ったあの朝――

あの感覚を、もう一度味わいたいなら。
ハイブリッドSUVという選択肢は、決して妥協ではない。

ホンダe:HEVには、意志を路面に映し出すような鋭いレスポンスがある。
トヨタTHSには、誰もが安心してドライビングを楽しめる懐の深さがある。
日産e‑Powerには、電動でも走りを諦めない反骨のスピリットがある。

選ぶべきは「一番速いSUV」じゃない。
選ぶべきは「自分の走りに寄り添ってくれるSUV」だ。

EVが主役になる時代が、すぐそこまで来ている。

でもその前に、僕たちはもう一度、自分の手でステアリングを握って選びたい。

どのSUVが、自分の走りの記憶を、もう一度呼び起こしてくれるのか。

操る歓びも、家族との安心も、電動の力強さも――
全部を、自分で感じて、自分の感性で選ぶ。

さあ、どんなSUVで、どんな未来を走ろうか?

 

ーーちなみに横浜出身の僕は日産追浜工場でアルバイトをしていた経験がある。

汗だくになって鉄の匂いと油にまみれながら、
「クルマって、こうして命が吹き込まれていくんだ」と実感した。

なので、ここだけの話し僕が選ぶなら断然e‑Power!

やっぱ横浜を愛する男なんでね(笑)

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