そのステアリングを握った時、あなたの心は何を感じるだろうか？
2025年秋、RAV4は“次なる時代”へと踏み出す。その変化はスペックの上塗りじゃない。SUVという器に、トヨタが「走る歓び」「生きる質感」、そして「人としての冒険心」を注ぎ込んだ、新しい哲学の結晶だ。
エンジンは唸らずとも、胸の奥が高鳴る。タイヤは泥を跳ね上げずとも、心はどこまでも駆けていける。そう、これはただのクルマじゃない。これは、“人生を運ぶ道具”としてのSUVが、ついに“人生そのもの”を語りはじめた物語なのだ。
走りの中に、己の輪郭が見えてくる――そんな一台と出会ったとき、人は年齢も役職も忘れて、少年の目に戻る。
新型RAV4。それは、あなたの「まだ知らない自分」に会いに行くための一台である。
1. 新型RAV4とは？電動化と走破性の融合
「エンジン音が消えることで、本当の“鼓動”が聞こえてくる」。この言葉が、2025年秋の新型RAV4では現実になる。
6代目RAV4は、ついに全車HEVまたはPHEV化。HEVは最大出力236馬力、しかしその頂点はPHEV版の約320馬力だ。これは“GTツアラーなみの加速”。街でも峠でも、胸を抉るようなレスポンスを見せ、「これが本当にRAV4か？」とあなたを疑わせる衝撃を内包している 。
PHEVはEV航続距離80km（EPA）、さらに最大出力320馬力、そしてCCS対応の50kW急速充電を獲得。日常で“電動SUV”として使い倒し、長旅では爆発的な加速力を引き出す。まるで旅の途中、スイッチひとつで“豹”へと変身できるようなギャップ感だ。
その猛獣を扱うのは、進化した「Dynamic Torque Vectoring AWD」。前後・左右のトルク配分を瞬時に制御し、荷重変化に合わせて“こちらの胆力まで計算している”かのような安心感 。
土台はTNGA‑Kを軸としたGA‑Kプラットフォーム。強静剛性スポット溶着、構造接着剤、補強サブフレームの採用でボディ剛性は確実に上がっている。その恩恵は、荒れた林道でも、アスファルトの継ぎ目でも、ビクともしない“安定感の塊”としてその場に佇む姿から伝わる。
もちろん、スペックだけでは終わらない。
新型RAV4は、焚き火のようなSUVだ。焚き火の炎は烈火のごとく燃え上がるわけではない。でも、肌をじんわり温め、胸を静かに熱くしてくれる。そんな“芯のある走り”を、新型RAV4は表現しようとしている。
──そう思った瞬間、胸の奥で何かが疼いたなら。
それは、あなたの中にまだ“走り”が生きている証拠だ。
新型RAV4。それは、眠っていたその衝動に、静かに火を灯す装置なのかもしれない。
2. 質感を纏うコックピット：COREモデルの奥深さ
「このクルマ、何か違う」
そう思わせる瞬間は、実はアクセルを踏む前にやってくる。
ドアを閉めたときの“密やかな重み”。シートに体を預けたときの“沈み込みの角度”。スイッチを押したときの“指先に返ってくる静かな抵抗感”。
新型RAV4のコックピットは、そんな一つ一つの所作が、五感すべてを刺激してくる。これが、ただの「装備がいいクルマ」と「心に響くクルマ」の境界線だ。
トヨタが新型RAV4のコアモデルに用意したのは、12.3インチのフルデジタルメーターと、最大12.9インチのセンターディスプレイ。そしてその周囲を包み込むようにレイアウトされたソフトパッド、そして微細に変化するアンビエントライト。そのすべてが、“機能”である前に“情緒”として存在している。
さらに、ドライブモードによって内装照明の色調が変化する演出が加わった。これが驚くほど“効く”。エコモードでは落ち着いたブルー、スポーツモードでは赤みを帯びた光がメーターに差し込む。そのわずかな変化に、なぜか身体が自然と反応してしまう。
気づけば、呼吸が浅くなっている。目が冴える。手のひらが温まる。
これはもう、ただの室内演出ではない。
“走りの準備”を、心と身体の両方に促してくるシグナルなのだ。
こういう仕掛けを、トヨタはどこまでも“真顔”でやってくる。だからこそ刺さるし、効く。
かつてRAV4は「利便性の塊」だった。だが今、それは“感性を研ぎ澄ませる空間”へと変貌を遂げた。
つまりこれは、単なる移動空間ではなく、走りのための“心のステージ”なのだ。
3. 剛性感とコントロール：GA‑Kプラットフォーム進化
まだ乗っていない。それでも、ハンドルを握ったときの“気配”は、もう感じている。
新型RAV4の骨格は、現行と同じTNGA「GA‑K」プラットフォームを採用しながら、さらなる熟成が予想されている。特に注目したいのは、スポット溶接箇所の増加や構造用接着剤の強化。これは“強さ”ではなく、“しなやかさ”のための補強だ。
ねじれ剛性の向上によって、ステアリング操作への“遅れ”が消える。つまり、入力と応答が一体化するということ。これが、走行中の「不安の芽」を摘み取ってくれる。速さとは、安心感の裏返し。峠を攻めても、街中でUターンしても、「このクルマは裏切らない」と感じられる。その根拠になるのが、このボディの精度なのだ。
さらに、懸架系の進化も想像に難くない。先代よりもバンプ側のストロークを長く取ることで、段差での挙動が柔らかくなりつつも、リバウンド（伸び）を制御することでロールを抑える。そんなセッティングが施されている可能性が高い。
現代のSUVに求められているのは、未舗装路でも破綻しない“包容力”と、都市部でのシャープな“俊敏性”。その両立を狙うには、やはりGA‑Kの洗練が欠かせない。
Dynamic Torque Vectoring AWDも、予測ベースの制御がさらに進化しているはずだ。従来はスリップを検知してから後輪にトルクを配分していたが、今後は「コーナー進入時点」で前後左右のトルクを先読みして配分することで、ハンドリングの質そのものが変わるだろう。
もちろん、実際の挙動はまだ分からない。けれど、数字と構造、そしてトヨタの開発傾向を総合すれば──
「これは、アクセルを踏ませるクルマだ」──その予感だけは、すでに確かなものとして胸に宿っている。
4. GR SPORT登場：スポーツカー魂の注入
「SUVにGRなど飾りだろう」――そんな声が聞こえてくるかもしれない。
だが俺は断言する。
GRという血統は、SUVの土俵で不可能を可能にしようとする“熱の証”だ。
想像してみてほしい。エンジン始動時、静寂を破るのは低く響く「うなり」。足元には刻まれたタイヤのほんの振動。ステアリングを握った瞬間に、体の奥に眠る“走りの思い出”が無意識に呼び覚まされる。
街中の狭い交差点で、軽く舵を切っただけで返ってくるステアフィール。あの感覚が、RAV4 GR SPORTにも宿っていると信じている。
もちろん、そのために用意されるはずの専用サスペンション、軽量鍛造ホイール、強化ステアリングラック。それらはすべて、“走りの魂”を傷つけず、むしろ研ぎ澄ますための装備。
PHEVの320馬力を指先でコントロールする、その緊張感。アクセルを踏むたびに胸が締めつけられ、「もっと、もっと」と言わずにいられないあの高揚。これが、GRブランドの“味”だ。
走りとは、単に前へ進むことじゃない。
それは、自分の限界に挑み、刹那に昂ぶり、心の奥底に眠る衝動を目覚めさせる行為だ。
GR SPORTは、その衝動への“招待状”であり、踏み込みたくなる“扉”なのだ。
──俺はまだ試乗していない。だが、このクルマの存在が、週末の山道に思いを馳せさせる。都会の夕暮れ、帰り道のワインディングで、ハンドルを握る瞬間の自分の呼吸が、今からたまらなく楽しみでならない。
なぜなら、GR SPORTが「ただ速いSUV」ではなく、
“走る歓びを再定義するSUV”だからだ。
5. Arene搭載で進む未来：OTAと安全性能の最先端
かつて、クルマは買った瞬間から“古くなる”存在だった。
だが、新型RAV4は違う。
このクルマは、走れば走るほど、進化していく。
その秘密が、「Arene（アリーン）」と呼ばれる新世代ソフトウェア・プラットフォームだ。トヨタが満を持して送り出すこの技術は、単なるインフォテインメントの更新に留まらない。車両全体の“感性”を、OTA（Over The Air）によって成長させる基盤となる。
たとえば──ドライバーが好む加速フィールを学習し、日を追うごとにモーターの応答を滑らかにチューニングしていく。あるいは、安全支援機能の制御アルゴリズムが、シチュエーションごとの挙動に最適化されていく。
そう、新型RAV4は“対話するクルマ”へと変貌しているのだ。
そして、この進化は「ドライバーの感性」に寄り添ってくる。つまり、技術が“壁”になるのではなく、“翼”になる。
新たに搭載されるToyota Safety Sense 4.0も、その象徴のひとつだ。カーブ予測支援やレーンチェンジ支援、死角補助やドライバー状態検知システム──これらの先進機能は、「おせっかい」ではない。峠で疲れた目を、ほんの一瞬休ませる“余白”を与えてくれる存在だ。
「走りは孤独なもの」だと、昔は信じていた。
だが今は違う。
新型RAV4は、孤独な旅に“静かな理解者”として寄り添ってくれる。そういうパートナーシップが、これからの走りに必要なのかもしれない。
最新技術が“壁”にならず、むしろ「あなたの走り」を支えてくれる。
そういう未来に、僕はほんの少し、胸を熱くしている。
6. 都会から冒険まで：3スタイルの真髄
一台のクルマが、すべてのライフスタイルに応えられる時代は、もう終わった。
むしろ今、問われているのは──
「あなたは、どんな景色を走りたいのか？」
新型RAV4は、その答えを“3つの顔”で提示してくる。
まず、「CORE（コア）」。都会的で洗練されたこのモデルは、ガラス張りのビルが並ぶ街中でも違和感なく溶け込みつつ、走りにもしっかりと芯がある。通勤路の1秒、コンビニまでの200メートル、そんな何気ない時間の中に「クルマってやっぱりいいな」と思わせる“粋”が詰まっている。
次に、「WOODLAND（ウッドランド）」。泥を跳ね上げ、雨に濡れ、時に道なき道を突き進むこのモデルは、「冒険」という言葉を忘れかけていた大人にこそ、刺さる。キャンプだけじゃない。早朝の海辺、誰もいない林道、行き止まりの先──このモデルが見せてくれる景色は、きっと人生そのものだ。
そして、「SPORT／GR SPORT」。走ることに意味を求めるすべての人へ。このモデルには、“かつて夢中でステアリングを切ったあの頃の感情”が息づいている。ワインディングでブレーキを残すタイミング、峠でリアが抜けそうになるあの一瞬、そんな“戦い”をもう一度感じさせてくれるのが、このグレードだ。
新型RAV4は、「万人向け」ではなく「選ばせてくる」。
それが、何より嬉しい。
だって僕たちは、「何に乗るか」じゃない。「どう走るか」で生きてきた。
COREを選ぶなら、街を美しく走ろう。WOODLANDを選ぶなら、自然と語り合おう。SPORTを選ぶなら、自分の中の闘志に火をつけよう。
さあ、あなたはどれを選ぶ？
そしてそのクルマで──どんな人生を、走る？