◆ あの日、背中に感じた鼓動。今、ハンドルの先にある日常。
ハイオクとオイルの匂いが染み付いたあの時代、
僕らは「速さ」だけを信じてステアリングを握っていた。
けれど時は流れ、チャイルドシートと買い物袋が定位置になった今、
クルマに求めるものは変わった…はずだった。
だけど、久しぶりに乗った新型の「ソリオ」は、
どこかで失くしかけていた“走る喜び”を思い出させてくれた。
ただ便利な箱じゃない。
このクルマには、人を運ぶ道具を超えた「想いの行き先」がある。
2025年、マイナーチェンジを経て新しく生まれ変わったスズキ ソリオ。
その真価を、ドライバーの視点で深掘りしていこう。
1. グレードと価格|“選ぶ”ことは、ライフスタイルを描くこと
価格表なんて、ただの数字の羅列だと誰かは言うかもしれない。
でもね、「どのグレードを選ぶか」って、自分の人生をどんな色で塗るかを決めるってことなんだよ。
2025年モデルの新型ソリオは、マイルドハイブリッド搭載モデルとして以下のグレードを揃える。
- HYBRID MG:1,926,100円(2WD)
- HYBRID MX:2,051,500円(2WD)
- HYBRID MZ:2,248,400円(2WD)
そして、少し尖ったバンディットという存在。
「大人になっても、ちょっとワルでいたい」という気持ちをくすぐるグレードがこちら。
- HYBRID MV(バンディット):2,303,400円(2WD)
選ぶグレードによって手に入る装備も表情も違う。
けれど、どのソリオも共通しているのは、「乗る人の物語に、ちゃんと寄り添ってくれる」ってこと。
2. ボディサイズと取り回し性能|小さなボディに宿る“大きな安心”
駐車場の枠にキッチリ収まる。
狭い路地もスイスイ抜ける。
それって「軽だから当然」って思うかもしれないけど、このソリオは“普通車”なのに、それをやってのける。
全長3,810mm、全幅1,645mm、全高1,745mm。
数字だけを並べれば、確かにコンパクトだ。
でもハンドルを握って最初に感じるのは、その“小ささ”の中に潜む“懐の深さ”だった。
ホイールベースは2,480mm。
だから安定感があるし、走っていてフワつかない。
そして何より最小回転半径はたったの4.8m。
この軽快さが、街を走る毎日をどれだけストレスフリーにしてくれることか。
たとえば、狭いスーパーの駐車場で「一発で入るかな…」ってハンドルを切るとき。
たとえば、保育園の送迎で、他のクルマが並ぶなか素早く動けるありがたさ。
それが、暮らしのリズムを守ってくれる。
昔は“限界ギリギリ”のスピードにゾクゾクしてたけど、
今は“最小半径でスッと曲がれる”ことに、同じくらい胸が躍るんだ。
このクルマが持つサイズ感、それは単なる数字じゃない。
毎日の「ちょっとした幸せ」を支える、大きな武器だ。
3. パワートレインと燃費性能|走り出すたびに、財布と心が軽くなる
エンジンに火を入れた瞬間、「おっ、3気筒か」と気づいた人は、きっと昔からの“クルマ好き”だろう。
2025年の新型ソリオに搭載されるのは、1.2L 直列3気筒エンジン「Z12E型」。
そこにマイルドハイブリッドシステムを組み合わせ、スムーズさと経済性の両立を狙ってきた。
じゃあ実際どうなの?
って思ってアクセルを踏むと、いい意味で裏切られる。
「あれ、これ…軽やかじゃん」ってなる。
エンジンの回転フィールは素直で、日常の加減速にストレスはなし。
高速の合流でも必要十分、むしろ意外と元気に前へ出てくれる。
そして何より財布に優しい数字がこちら。
- 2WD(FF)燃費:22.0km/L(WLTCモード)
- 4WD燃費:20.7km/L(WLTCモード)
この燃費、正直かなり優秀だ。
家族で出かけて、道の駅でちょっと買いすぎても、「まあ燃費いいし、いっか」って笑える余裕ができる。
かつて、燃費なんて気にせずにレッドゾーンを愛していた自分が、
今は給油ランプがつかないだけで「よっしゃ」とガッツポーズ。
…いや、大人になったんじゃなくて、燃料高騰が悪いんだ。
(ねえ、レギュラー180円ってマジですか?)
4. 内装と快適装備|「ただの移動」が「小さな旅」に変わる瞬間
扉を開けた瞬間、第一声は「お、広っ」だった。
正直、外から見るとそこまで期待してなかったんだよ。だけど、運転席に座ってみて初めてわかる“この空間の余裕”。
室内高1,360mm。後席の足元なんて、ちょっとやそっとじゃ膝が前のシートに当たらない。
ファブリックの手触りも良くて、全体に“気が利いてる”。
たとえば、後席スライド機能。荷物の量や子どもの成長に合わせて簡単に調整できる。
これ、小さい子がいる家庭には超・実用的。
そして上級グレードやバンディットには、電動パーキングブレーキ+ブレーキホールド機能も搭載。
もうね、信号待ちで“足がつりそう”な心配から解放されるんだ。
しかも、9インチHDディスプレイのナビはスマホ連携もバッチリ。
スズキコネクトも搭載で、スマホからエアコン操作できたり、もう完全に“家電”の領域。
さらに地味に感動したのが、荷室の低さ。
キャンプ道具を積む時、腰が「ありがとう」って言ってくる感じ(笑)。
昔は「走りがすべて」だった自分が、今や「スライドドアの開閉音が静かだ」とか感動してる。
…まあ、そんな僕を見て娘が一言。
「パパ、便利に感動するおじさんになってるよ」
──うるさい。けど、否定はできない。
5. 安全装備の充実|「万が一」じゃなく「いつもの安心」をつくる技術
ドライバーって、つい自分の腕を過信しがちだ。
でも、助手席に奥さん、後席に子どもが乗った瞬間、クルマの見え方はガラリと変わる。
そんな時に頼りになるのが、ソリオに詰め込まれた先進安全装備たち。
まず注目したいのは「デュアルセンサーブレーキサポートII」。
単眼カメラとミリ波レーダーの組み合わせで、歩行者もクルマも見逃さない。
さらにアダプティブクルーズコントロール(ACC)は全車速追従+停止保持機能付き。
これ、高速での渋滞が“地獄から解脱する装置”に変わるから、本当にありがたい。
他にも、車線逸脱抑制、ブラインドスポットモニター、リヤクロストラフィックアラートまでフル装備。
もはや「え? この価格でここまで?」と疑いたくなるレベル。
でも、この“全部入りの安心感”が、日々の運転を柔らかく包んでくれる。
たとえば雨の日の保育園送迎、夕方の買い出し帰り…
「何事もなく帰ってこられる日常」こそ、最上の安全装備がくれる価値なんだ。
ちなみに僕、最初はこれらの装備を「オーバースペックだよ」とか言ってたくせに、
初めてブラインドスポットモニターが光ったとき、ちょっと感動して小声で「サンキュー…」って言ったのは、ここだけの話(笑)。
まとめ|“走る”ことの意味が変わったとしても、クルマと生きる幸せは変わらない
かつて僕にとって「走る」とは、“闘い”だった。
タイムと、ライバルと、そして己と。
だが、今は違う。クルマに乗る時間が、家族と過ごす「静かな幸福」に変わった。
2025年の新型スズキ ソリオ。
このクルマは、そんな“人生のギアチェンジ”をした人間にこそ、優しく寄り添ってくれる一台だ。
コンパクトな車体に、驚くほど広い室内。
マイルドハイブリッドで財布にも地球にも優しく、先進安全装備もぬかりない。
かつて速さを追ったドライバーにも、「今の自分に、これで十分すぎる」と心から思わせてくれる懐の深さがある。
だけど──そうは言っても、
時々一人で運転してると、つい「マニュアルモードにして回してみるか…」なんて悪い虫が疼く。
で、回してみたんだよ。ちょっと懐かしい峠の下りで。
後ろからは誰も来てない。カーブ手前でシフトダウン、エンジンブレーキを効かせてクリップに向かう…
──その瞬間、後部座席から娘の声が飛んだ。
「パパ、また変な音出してる!コンビニまだぁ〜?」
…速さの向こうにあったのは、
コンビニのおにぎりと、娘のためのチョコレートだった。
──ああ、やっぱりこのクルマでよかった。
走りの終着点が「家族の笑顔」ってのも、悪くないだろ。